膝蓋軟骨軟化症


 

膝は3つの骨(大腿骨、脛骨、膝蓋骨)で構成されています。

曲げ伸ばしした際に、膝のお皿の骨(膝蓋骨)は大腿骨(太ももの骨)の下端の関節面を上下に動きます。

この膝蓋骨の働きは効率よく膝を動かすことや、筋肉の力を伝える滑車のような役割を担っています。

 

しかし、この滑車運動でお皿(膝蓋骨)が上下運動すると、大腿骨と膝蓋骨の間でストレス(摩擦と圧迫力)が生じます。

オーバートレーニングによるストレスで膝蓋骨と大腿骨の擦れ合う関節面の軟骨に傷がついた状態を、膝蓋軟骨軟化症、あるいはPF関節症(patella femoral arthritis)と言います。

この症状は下肢の構造的な異常を持っている選手に頻繁にみられることと、比較的若い女子選手によく見られます。

構造異常の特徴は膝蓋骨の不安定性・X脚・扁平足・大腿四頭筋のアンバランス等です。

 

①膝蓋骨の不安定性

膝の屈伸運動の時に膝蓋骨が上下運動するときに、お皿が外側にスライドする動きが大きな摩擦を発生します。

これは膝蓋骨と大腿骨の関節面のはまり込む度合いが浅いことによって起こります。

 

②X

X脚は大腿四頭筋が膝を伸ばす際に膝蓋骨を必要以上に外側に引き上げるように働くため、不必要なストレスを膝蓋骨にかけます。(FTA & Q angle)

 

③扁平足

扁平足はしゃがみ込みの動作で膝の内折れ現象(Knee-in)を誘発する事で結果的に、お皿の外側への不安定性を生じます。

 

④大腿四頭筋のアンバランス

大腿四頭筋はその名の通り4つの筋肉から構成さています。

もしそれぞれの筋力バランスが崩れると、筋力のベクトルが外側に偏倚してしまい結果的に膝蓋骨の外側方向へのストレスを運動強度とともに増加します。

 

⑤大きな骨盤の横幅

骨盤の横幅が大きい場合も大腿四頭筋のベクトルが外側に向いて、膝蓋骨の外側方向への不安定性を発症いたします。

 

治療

・急性期では数日間の安静とアイシング

・サポーターの使用

・痛みに対する鍼灸治療や電気治療、各種手技療法

・スポーツドクターによる消炎鎮痛剤の処方、関節注射

・足にあったシューズに替える、またはインソールの挿入

 

※手術を必要とする事は非常に稀です

 

トレーニング
トレーニングは治療と同じように重要で根本的な構造の問題も、トレーニングによって矯正されるまで続ける事が必要です。

何故なら症状が無くなっても構造的な異常が残っていると、再度発症するリスクが高い状態には変わりがなく再発する可能性が高いです。

 

トレーニング強度と時間を落とす

・痛みの生じないトレーニングに変更する(ランニングをスイミングやアクアランニング、プールで走るなどに変更)

構造異常の矯正トレーニング(トレーニング方法は個人の特徴によって異なります)

・上半身中心のトレーニングに切り替える