インピンジメント症候群

インピンジメント症候群とは…

 

腕を上げる途中で、腕の骨(大結節)と肩の骨(肩峰)が衝突(=インピンジメント)し、その間にある組織(腱板の一部や肩峰下滑液包など)が挟み込まれ、この刺激が繰り返し加わると炎症が起こります。
安静にしていればこの変化は正常に戻り、症状は軽快しますが、動作の反復によって症状の再燃を繰り返すと慢性化します。バレーボールや野球、水泳の選手などに多くみられます。
進行すれば、時に腱板の部分断裂や、肩峰下に骨のとげ(骨棘)ができ、痛みがなかなかとれなくなることもあります。

症状が長期間にわたり、日常生活や競技に支障をきたす場合、手術をおこなうこともあります。

骨の衝突(インピンジメント)が発生し、その間に挟まれた腱板や滑液包がダメージを受ける!

 

《症状》

n腕を上げたときの痛みとひっかかり感

n大結節周囲の張れや熱感

n症状が強くなると安静時や夜間痛も出現

 

               【右図:右肩前面】

 

《原因》

ケガと使いすぎに分かれます

1回の大きな負荷によるもの

瞬間的に身体に耐えきれない負荷がかかることで、物理的な損傷が起こり、

肩の機能不全が発生

・ スポーツでの肩からの衝突、転倒
・ 重量物を持ち上げる、支える

 

小さな負荷が繰り返し加わることで、顕微鏡レベルでの組織の損傷がおこるもの

使い過ぎと動作不良が主な原因

特に肩関節や肩甲骨周囲の筋肉の柔軟性低下や、筋力低下があると正常な腕を上げる動作ができず、インピンジメントを引き起こしやすくなる

 

《治療&セルフケア》

 

①患部の炎症を抑えるために、安静とアイシングが重要です。
痛みの出る動作や練習はしばらく避け、運動後のアイシングを徹底してください。(15分×23セット)
運動後以外の過剰なアイシングは不要です。

 

②肩関節や肩甲骨、背中の柔軟性を向上させることが必要です。ストレッチやマッサージ、鍼が有効ですが、そういったケアを受けられない場合は、下記のセルフストレッチやストレッチポールを使った運動などをおこなって下さい。

 

 

③肩周囲のアウターとインナーのアンバランスを改善します。
アウターとは外側の大きな筋肉(三角筋など)で、インナーとは内側の小さな
筋肉(回旋腱板=ローテーターカフ)のことです。
動作時にインナーの働きが不十分で、アウターばかり使ってしまうとインピンジメントを引き起こします。

インナーのトレーニング方法を紹介しておりますので、参考にして下さい↓

http://www.youtube.com/watch?v=wB8PMTpZSec&list=PL2PGn2Lh1BEMiDalgcC0XB2pbZPXN43Dm

http://www.youtube.com/watch?v=xfS-TDvzu68

 

 

 

④インナーの強化以外にも肩甲骨の動きの改善や、胸郭への固定力強化、背中の柔軟性向上など、競技や症状に合わせて多くのリハビリやトレーニングをおこないます。

 

⑤フォームの修正

肩に負担のかかるフォームの場合は修正が必要です。
肩以外の部分に原因があることもあるので、当施設でもフォームチェックをおこない、それを改善するためのリハビリ、トレーニングの処方をおこなっています。

 

⑥テーピング

腱板を補助するテーピングをすることで、動作時の痛みが軽減します。


当院での症例です。

受傷から復帰までの経過を載せております↓

右肩インピンジメント症候群 18歳女性 バレーボール

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コメント: 9
  • #1

    ATHLETE HOUSE (木曜日, 23 7月 2015 22:08)

    ケガや治療、リハビリなどについてご質問があれば、お気軽にコメントして下さい!
    少しお時間いただきますが、お返事させていただきます♪

  • #2

    髙子 忠雄 (月曜日, 02 11月 2015 06:50)

    始めまして タカコ タダオと申します、斜角筋症候群で痛みがでますが、肩の上方から下向へインナー運動(ダンベル)をすると、ゴンゴンと音がでます、この音は何処から来るのでしょうか。
     また、これに対する運動療法をお教え下さい。敬具

  • #3

    ATHLETE HOUSE (日曜日, 08 11月 2015)

    髙子 忠雄様

    こんにちは

    関節を動かした際の音には、関節内の気泡がはじける音や、骨と軟部組織がこすれる音など様々な要因があります。申し訳ありませんが、髙子様のお体を直接診ていないので、何処から音がなっているかはわかりません。
    ですが音がなる原因としては、肩関節が正しい位置で正しい動きができていない可能性が考えられます。
    運動療法としては、肩関節を正しい位置に保持する為に必要なインナーマッスルのトレーニングと肩周囲の筋肉の硬さをとる為のストレッチをお勧めいたします。
    ただ痛みを伴う運動療法はお勧めできませんので、専門家による治療を受け、痛みがなくなってから運動療法を開始する方が良いかと思います。

    インナーマッスルのトレーニングはこちらの動画を参考にしてください。
    https://www.youtube.com/watch?v=xfS-TDvzu68

    ストレッチはこページの〈治療&セルフケア〉の項目を参考にしてください。
    http://athletehouse.jimdo.com/2014/06/01/インピンジメント症候群/

  • #4

    髙子忠雄 (木曜日, 28 7月 2016 12:59)

    ATHLETE HOUSE 様ご回答有難うございます。早速にやってみます。

  • #5

    渡辺知也 (木曜日, 28 7月 2016 21:50)

    インピンジメント症候群は病院に行かなくても自宅でストレッチをしっかりやれば完治するものでしょうか?

  • #6

    ATHLETE HOUSE (土曜日, 30 7月 2016 04:11)

    渡辺知也様
    こんにちは

    軽度のインピンジメント症候群ならストレッチのみで症状が軽減する事もありますが、完治させるにはストレッチだけでなく筋力強化が必須です。
    特に肩のインナーマッスルの弱化によってアウターとインナーのバランスが崩れ発症するケースが多いです。

    まずは肩の可動域を改善するためのストレッチや肩甲骨のエクササイズ、筋力強化のためのインナーマッスルトレーニングなどに取り組んでみてはいかがでしょうか?

    ただインピンジメント症候群は肩だけでなく背骨や肋骨などの体幹や下半身の影響を受けて発症する事もありますので上記のエクササイズに取り組んでも改善しない場合は、やはり専門家の指導のもと治療&リハビリを受けることをお勧めいたします。

    インナーマッスルトレーニングはこちらの動画を参考にして下さい。
    https://www.youtube.com/watch?v=wB8PMTpZSec&list=PL2PGn2Lh1BEMiDalgcC0XB2pbZPXN43Dm
    肩甲骨のエクササイズはこちらの動画を参考にして下さい。
    https://www.youtube.com/watch?v=mVi6HC_fD54

  • #7

    渡辺知也 (日曜日, 07 8月 2016 09:34)

    ご丁寧にありがとうございます。
    とても参考になりました。

  • #8

    徳永龍矢 (日曜日, 26 2月 2017 08:15)

    インナーマッスルや柔軟を毎日しっかりやったうえで全治何週間ぐらいかかりますか?

  • #9

    ATHLETE HOUSE (水曜日, 01 3月 2017 00:58)

    徳永龍矢さま
    こんにちは
    症状が軽度の場合は治療とリハビリをしっかりと行えば1~2週間で良くなることもありますが、何度も再発を繰り返されている方や腱板に損傷や炎症があれば2~3か月かかることもあります。

    具体的にどのくらい時間がかかるかは、インピンジメント症候群の程度や現在の体の状態で大きく変わるかと思います。

    またインピンジメント症候群は非常に再発の多いケガで、インナーマッスルトレーニングと柔軟だけでは不十分なこともありますので、ぜひ専門家による治療とリハビリ指導を受けることをおすすめいたします。
    お大事にしてください。